27、警察学校生の感想 その1

ロケット特攻機「桜花」を懸吊した一式陸上攻撃機(古谷真二中尉搭乗)
ロケット特攻機「桜花」を懸吊した一式陸上攻撃機(古谷真二中尉搭乗)

【警察学校生の感想】

 警察官も、誇りと使命感を持ってその職を全うすることが求められている 

 講話を聞いて、戦時中の同世代の方々のたくましさにただただ驚くばかりでした。国家が戦争へ向かう中で、自分のやりたいことを抑えて、国のために必死で生きて、そして亡くなった。その気持ちに胸を打たれました。毎日の訓練の先に絶対的な死が見えているはずなのに、何故笑っていられるのか。私は今日まで、その心情が理解できませんでしたが少しわかったような気がします。みんな少なからず死に対する恐怖はあるけれど、両親や恋人、子供に対する愛情にあふれています。ただ、それ以上に国に対する忠義を尽くそうとする気持ちや、日本人という民族の誇りのために戦っていたことを知りました。誇るべきことです。自らに課せられた使命を全うすることの模範を見た気がします。仕事に使命感を持ち、命をかけて仕事に取り込む姿勢は、誇らしく見習うべき事でした。警察官は公共の安全と秩序の維持を目的としており、誇りと使命感を持ってその職を全うすることが求められます。誇りと使命感とは何かと考えてみると、彼らが胸に秘めていたものと同じ、守るべきものを真に想う気持ちと、力強く勇気にあふれた姿ではないかと思います。まさに理想の警察官そのものの姿です。

 その中でも、自分の中で一番感銘を受けた方は古谷真二さんです。古谷中尉は自らの遺書の中で、国に対して忠義を尽くすことが親に対する孝行と同意義であると考え、覚悟が決まっていて落ち着いた様子が感じられます。実際どのような心情だったかはわかりませんが、親に感謝も出来なくてどうして国に尽くせるのか。親への感謝の気持ちがあってこそ、それが他へ及び、他に尽くすことが出来るという強い意志も読み取れます。警察官もその与えられた権限から勘違いをして傲慢になる人間もいますが、古谷さんの言う「忠義の誠」を念頭に置き自らがなすべき事を理解するべきです。また、今現在のみを考えるのではなく、先を読み後ろを見て、自分がいる意味を考えさせられました。目の前の人にのみ礼を尽くすのではなく、自分のルーツである祖先を敬い、後世に何を託すべきなのかを考えました。

 

【警察学校生の感想】 

 遺書を書き決意を固め、勇気を振り絞って死と対峙する

 講話の中で僕が一番心を打たれたのは、溝口さんの日記です。人間は死ぬのがいやなものですから、特攻隊の方々も死ぬのは怖かったはずです。溝口さんの日記からは、死への恐怖心といったものが読み取れ、そのせいで尚更、彼に共感を覚えました。彼らも現代の僕らと同じように、死ぬことは恐怖以外の何物でも無かったに違いありません。それでも、僕らと違うのは、壮絶な使命感が恐怖心を上回っていたということです。この日記も恐怖に負けないため、自らの決意を固めるために書いたように感じます。遺書を書き決意を固め、勇気を振り絞って死と対峙する。だからこそ、その文章は必死で切実で真摯な内容で、僕たちの心に直接訴えかける力があるのだと思います。 

 溝口さんの日記から、沢山のことを感じました。両親への感謝の気持ち、謝罪の気持ち、死への恐怖、そして戦う勇気と使命感。自分の使命を全うするために、恐怖心に打ち勝ち自らを犠牲にするという勇気は、現代の僕たちには現実感が薄く苦手な気持ちだと思います。しかし、警察官には、時にそういった状況に身を置く場合も考えられます。その時、迷わず行動できる心を養うためにも、溝口さんの勇気と使命感を見習わなければなりません。 その2