気高い自己犠牲によって勝ち取り得る本当の幸福
講義を受講して、人間の美しい生き方、死に方を考えさせられました。人間は何かとの繋がりが無ければ生きてはいけないと思います。それは家族であったり宗教であったり、自己を取り巻く社会・国であったりします。戦時下は、その時代の性質上「愛国心」が強く人々の行動を規定すると思います。国のために、そこに住まう身近な人々の幸福のために、その思いがあれば人は生きる目的を強固に定め、有限な時間を無駄にせずに切磋琢磨していけるのでしょう。その生き方は、自己の向上を願わずにはいられない人間として、自然であり至極美しいと感じます。
しかし、今の時代は価値観が多様化し人との繋がりが希薄となり、自己の快楽を満たすための権利意識が肥大化した時代だと思います。「国」など、強く自己を帰属させる対象を見出せず、心は漠とした不安に犯されています。幼少の頃から、消費の主体として生育したことで、働いて何かを得る喜びを体感出来ずに、生活に空しさを感じています。
先人たちが命を賭して勝ち取った「教育を受ける権利」は、最早子供たちにとって大人から訳もわからず押しつけられるだけの強圧的な「義務」に成り果てました。あとには、強固な目標を見出せずに倦怠と怠惰に満たされた冗長な時間が茫漠と広がっているだけ、そういう厭世観を持つ若者は、最早異常では無くなりつつあります。しかし、人はその属する社会によって精神を形作られます。それが必然的なことであるのなら、これからの子供たちにどのような社会を残せるのかを考えるのは我々の義務であると感じました。
自分の命を犠牲にして、国と家族を守り抜こうとした勇士たちの手記を読んでいると、自然と胸に熱いものがこみ上げてきて、人間の尊厳を謳い上げたくなります。時代が変わっても、人間の本質、気高い自己犠牲によって勝ち取り得る本当の幸福というものは、不変であると思います。講義を受け、改めてそのようなことを考えさせられました。
自分の命の輝きを放つ
【警察学校生の感想】
今回の講話は、自分の今までの18年間の人生を振り返る時間だった。聴講しながら私は、「全力で自分の人生を全うしているのだろうか、本気になって一日一日を過ごしているのだろうか」と、自問自答しました。また、「親孝行ができない人間が社会に貢献できるのか。」との講師の問いかけに、応えることができませんでした。中学2年の時に父を亡くした私を、母は女手一つで育ててくれました。そして、警察官になるとの私の夢を母は後押ししてくれたのです。しかし、私は何一つ親孝行をしていません。そんな私が県民のために行動したとしても、それは表面上のこと。県民に伝わるはずがないと思いました。聴講中の私の心境は、日本の誇りある歴史を知らずに生活してきた今日までの自分を恥じる気持ちと、悔しく思う気持ちで一杯でした。
今までの私は死んでいました。特攻隊の命の輝きはとても素晴らしいものでした。私はどうか、命の輝きを放っているわけがありません。人のために役に立ちたいとの正義感から志望した警察官。しかし、その思いはただの自己満足であったと痛感したのです。国を守るために本気で自分をなげうった先人達のことをまったく知らずに、国を守ると意気込んでいた自分を恥じます。
私は今日で生まれ変わった、それほどの感銘を受けました。日本の誇りある歴史を知り、自分の命も輝くように一日一日を全力で生きてゆきたい。今日の講話の感動を持ち続け、苦しんでいる県民・国民に本当の意味で心を寄せることができる警察官になるべく、努力してまいります。これからは、自分の命の輝きを放っていきたいと思いました。
特攻は、21歳の青年達が言い出して始まったということに驚きました
【警察学校生の感想】
自分は歴史を誤解していたと気付いた。特攻は、21歳の青年達が言い出して始まったということに驚きました。そして、戦時中の人々は皆、国の上層部に騙されていて本当の戦況なんか知らなかったと思い込んでいました。けれども、それも間違った認識だったと知ったのです。西田高光さんの話の中で、「この戦いを勝てると思っているのか、負けても悔いは無いのか」と山岡荘八さんから質問されて、西田さんは「特攻は自ら志願した、動揺する時期はもう乗り越えた。学鷲(学徒出陣組のパイロットのこと)は、一応インテリなので、そう簡単に勝てるとは思っていない。我々の命は講和の条件にも繋がっている。」というようなことを答えている。とても、感動した。自分の死が勝利に繋がらないと知っていながら、もっと先を見据えて命をかけたなんて、どれだけ悩み、どれだけ真剣に生きていたのだろう。私と同じくらいの年齢で、死ぬための訓練に励み、たとえ戦争に負けるとしても自分の命は民族の誇りになると断言する思慮深さに、涙が出そうになりました。
さらに、市島保男さんの日記には、自分の今の生活と比べて、深く考えさせられました。死ぬことを知っているのに、「俺は死するまで静かな気持ちでいたい。人間は死するまで精進し続けるべきだ。まして、大和魂を代表する我々特攻隊員である。その名に恥じない行動を最後まで堅持したい。」と考えることは、私には想像も出来ません。講師は、「真剣に生きているのか。」と私達に問いかけた時、まるで市島さんに言われているようで胸に言葉が突き刺さりました。今の生活をこなすだけで疲れているようでは、国のため未来のために死んでいった人達に申し訳ない気持ちとなりました。私も真剣に生きて、国のため未来のため、もっと頑張れるはずです。この制服を着て警察官として恥ずかしくない行動を常にとっていきたい。そして、今日の日本を作ってくれた先人への感謝を忘れず、日本を守りよりよい日本を作ることに寄与したいと思います。もっと、国のため、未来のために真剣に生きていこうと決意しました。
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